スイス、チューリヒで、パトカーの前に立つのは、ブルーのボタンダウンのセットアップ。上には蛍光グリーンのパーカ。シャツ&スラックスとロゴ入りパーカは、ワークというよりはユニフォーム調だ。
「社会で使用されている制服が好きです。
バレンシアガ バッグ 人気子供の頃、多様性が欠如した環境で過ごしたからだと思う」と、旧ソ連のジョージア(グルジア)出身のデザイナー、デムナ・ヴァザリアは語る。写真のモデルは本物の警察官ではないが、保険会社のビジネスマンか、会計士か、とにかく“市井(しせい)の人”。彼らをモデルに選んだのはデムナとそのチームで、撮影もデムナ自らが行った。
そして、今回は、これらの写真の大型パネルが会場に並んだ。パリからスイスへのオフィス移転と同時に、ファッションウィ―クへも今後は不参加、つまり、ショーはしない、という宣言どおりだ。しかし、このやり方に違和感はない。
今年1月、さまざまな職業をテーマに、一般人のモデルがランウェイを歩いたこと、そしてバレンシアガのメンズショーでも、「普通の父親」と本物の家族たちが、モデルとして登場したことと重なる。「アンチファッション」「リアル」というコンセプトは、デムナの巧みなカメラワークで、さらに精度が増して見える。
デニムジャケット(ジージャン)の胸に挟みこまれた、デニムパンツのウエスト部分。そしてパンツの筒の部分は袖になり、モデルのひじや二の腕を覆う。
バレンシアガ コピー 服Tシャツは違う2枚が合体し、パンツは途中から突然色が変わる……。
マルタン・マルジェラの「正統的継承者」ともいえるデムナによるこうしたディテールは、今のストリートにあってはむしろ、全くリアルそのものである。
そこに、イギリスのスポーツウエアメーカー、umbroとコラボしたポロ&ハイネックシャツ(ロゴが重なり、袖が長いところがヴェトモン仕様)や、世界最大の運送会社DHLとのコラボによるナイロンパーカなどが現れると、より親近感とユーモアと、そして購買欲が刺激される。DHLの制服と激似で、IKEA似バッグ以上の物議必至だ(笑)。
加えて、蛍光イエローが旬とか、黒に白ライン入りのスポーツスタイルが復活、などのトレンドも、「ヴェトモンがやっているから絶対流行るに違いない」と、思えてくる。